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MADOO Typ711(M001) 〜プラナー型3基+BA型2基のハイブリッドIEM、Acoustune の新サブブランド「MADOO」から登場、香港・中国で先行リリース🇭🇰🇨🇳

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Image credit: Acoustune / Madoo

プラナー(平面磁界)型ドライバーIEMを主軸とした、Acoustune の新サブブランド「MADOO」

昨年2021年夏頃から中国や香港、台湾などで開催されていたヘッドホン/オーディオ展示会に、参考出展されていた Acoustune の謎につつまれた新機種「MADOO Typ711」が、Acoustune の新サブブランド「MADOO」とともに登場しました。

Disclaimer
この記事は現時点で海外で明らかになっている情報のみを元に推測に基づいて構成しています。日本で正式発表される際には内容・仕様等が異なる可能性がある点にご留意ください。

「MADOO」というブランド

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Image credit: Acoustune / Madoo

ブランドとしては完全ワイヤレスイヤホンの「ANIMA」と並ぶ形になる、この「MADOO」というサブブランドは、Acoustune の「プラナー(平面磁界)型ドライバーに特化」したブランドのようで、「機械式カメラや腕時計のように、10年後でも代表的で競争力のある製品を開発する」といった理念のもと、2020年に設立されたようです。

ブランド名「MADOO」の読み方は不明ですが、レビュー動画などを見ると、香港では「マドゥー」、中国本土では「マドー」などと呼ばれたりしています。

"Madoo" で検索すると、古いスコットランド語で「私の鳩」を意味する "Madoo" にちなんだニューヨークの庭園ギャラリーや、英国にあるイタリアン・カフェ、タイの日本を紹介するサイトなどが出てきたりと、さっぱりわかりません。まさかフェイスプレートが「窓」のようになっているためだったり…はしないと思いますがw

Note
「MADOO」および「MADOO Typ711」は、ひょっとすると日本の紙媒体のオーディオ誌ではすでに紹介されてレビュー記事も出ているかもしれませんが、紙媒体はチェックしていないのでわかりません…


MADOO 初の機種となる 3PM+2BA の MADOO Typ711 (M001)

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Image credit: @上海知音堂

現在までに判明している情報をザックリまとめると、昨年2021年11月に発売された Astell&Kern AK ZERO1 に採用された「Micro Rectangular Planar Dynamic Driver」とほぼ同じ構造ではないかと推測される、小型プラナー(PM)型ドライバーを3基、BA型ドライバーを2基搭載した「Typ711」または「M001」と呼ばれるハイブリッドドライバーIEM/イヤホンの新機種が、今年2022年1月頃に香港および中国で先行してリリースされているようです。(香港のサイトでは「香港と日本で2022年初頭に同時発売」と記載している所もあります)

Note
プラナーマグネティック(平面磁界)型ドライバーを略記する場合に、「PM(Planar Magnetic)型」とするか「PD(Planar Driver)」とするかメーカーやメディアによってばらつきがありますが、「BA(Balanced Armature)型」の例に倣うと「PM型」と表記するのが自然な気はします。MADOO Typ711 の場合は「3PM+2BA」。
ただ動作原理としてはダイナミック型に近いので「DD(Dynamic Driver)」と組み合わせる場合は、「1PD+1DD」などの方がわかりやすいのかもしれません。

機種名の謎「Typ711」or「M001」?

現時点では正式な機種名は定かではありませんが、香港では主に型番とされる「Typ711」の名称で表記されており、当初中国本土では「M001」の名称で見かけていましたが、今は「Typ711」を主として「M001」併記するケースが多い気がします。

日本国内展開時にも同じ名称が使われるのか、「笙」のように和名がつけられるのか、発表を待つしかありません。

昨年12月に行われた中国のオーディオショップでの試聴会

Madoo平板耳塞圣诞试听会 (2021.12.25-26, 北京 德海基业HIFI音频总店🇨🇳)

香港・中国で販売中のショップの例

レビュー記事・動画

「3基」のプラナー型ドライバーの形状の謎

一般的なイヤホン/IEM用のプラナー(平面磁界)型ドライバーは、おおむね次のようなタイプが使われていますが、MADOO Typ711 では「プラナー型ドライバを3基」も搭載しており、このタイプでは構造やサイズ的に無理であろうことが想像され、その構造がしばらく謎でした。

中国の販売店サイトに製品紹介が詳しく載っていましたが、「MIAA: MADOO In-Acoustic Archtechture」と呼ぶ独自の構造を採用していること以外は不明で、しばらくモヤモヤとしていました。

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MADOO Typ711 のプラナードライバーの正体と、何かと共通点が多い AK ZERO1

当初、名称は「M001」だと思っていたのですが、ふと先の淘宝の商品ページに「型号: Madoo Typ711」と記載してあるのに気づき、改めて「Typ711」で検索した所、香港での情報がどっさりと出てきました。

それにより、プラナー型ドライバーの英文表記が「Micro Square Planar Magnetic Driver」であることが判明し、3Dプリンターで0.01mm精度で成形し、各ドライバーの固定と音導管や音響フィルターを一体化した「MIAA」の構造詳細も、CGレンダリング画像が出てきて納得。

AK ZERO1 と MADOO Typ711 の共通点

香港の各販売店やレビューなどの詳細な情報から、「MADOO Typ711」はプラナー型ドライバーだけでなく、さまざまな面で「Astell&Kern AK ZERO1」と共通点が多いことが見えてきました。

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Image credit: Acoustune / Madoo, Astell&Kern

  • 呼称は若干違うものの意味と形状はほぼ同じプラナー型ドライバーを採用 (Rectangular = Square)
    • "Micro Rectangular Planar Dynamic Driver" (AK ZERO1)
    • "Micro Square Planar Magnetic Flat Driver" (MADOO Typ711)
  • カスタムBAドライバー2基は1体型のタイプ
  • 音導管や音響フィルター、ドライバー取り付け部を3Dプリントにより一体成形している
  • 日本で最終組み立てと検査を行う Made in Japan 製品
  • Ty711のシェル形状は「香港・韓国・日本など300人のアジア人の耳型」をもとにしたフィットしやすい形状とのこと(ん?韓国?)
  • 国内代理店が同じ

以上のことなどから、おそらく MADOO と AK ZERO1 も、Acoustune や ANIMA ブランドの製品と同様に「東京音響(株)」が中心となって開発・生産している機種なのでは?とも推測できそうです。

当初香港発のブランドだった「Acoustune」が「日本のブランド」になった経緯?

ちなみに、東京音響(株)の会社概要のページを見ると、「Acoustune」が HS1001 などをリリースしていた当初は「香港のブランド」として紹介され、現在は「日本のブランド」としている理由がなんとなく推測できそうです。2018年〜2019年頃に転機があったのではと思います。

尚「Acoustune」は e☆イヤホンのWebサイトでは未だに「香港ブランド」のままですが、昨年「eイヤTV」に東京音響の三枝社長が出演された際に「日本のブランド」と明言されています。

MADOO Typ711 の主な仕様

現時点で香港のショップなどに掲載されている情報を元にすると、次のようなスペックのようです。

ドライバー Micro Square Planar Magnetic × 3
    低域&高域: PSM30101, 中域〜低域: PCM90202, 低域: PAM80303
Summba BA × 2
 中高音域: SBA50201
コネクター Pentaconn Ear
ハウジング 高精度CNC切削 SUSステンレス (サンドブラスト加工)
サファイアクリスタル (アダマンド並木精密宝石株式会社製)
最大入力 15mW
インピーダンス 16Ω
周波数レンジ 20Hz〜20kHz
付属ケーブル 3.5mm 4芯銀メッキ銅線 (MRC011) ×1
4.4mm 4芯銀メッキ銅線 (MRC023) ×1
付属品 シリコーンイヤーピース (S/M/L), フォームタイプイヤーピース, レザー調キャリングケース

MADOO Typ711 はかなりヘッドホンアンプのパワーを要求する様子

先行している中国のショップレビューや、Twitter で中国の方から教えていただいた情報などによると、かなり「鳴らしにくい」機種のようで、出力に余裕のあるヘッドホンアンプや高出力のヘッドホンアンプを搭載したDAPで鳴らすのがよいそうです。

中国の販売店、SOUNDLUCK圆声带 公式 Instragram には、Astell&Kern ACRO CA1000 と組み合わせた写真がアップされていたり、このクラスの機種なら満足に鳴らせそうな様子です。

そろそろ国内発表されてもよさそうな頃…

MADOO Typ711 "M001" とおぼしき機種を最初に知ったのは、昨年8月の微博でのこの投稿で、中国や香港、台湾などで開催されるヘッドホン/オーディオ展示会の際にどこかに出ていないかとずっと情報を追ってきましたが、中国および香港ではすでに販売されており、北京冬季オリンピックの関係等で、日本への輸送や生産数の見通しが立てづらく、ある程度確実な状況になってから発表されるのではと予想しています。

20万クラスの高級機になりそうですが、AK ZERO1 以上にこの新プラナー型ドライバーの特徴が現れていそうで(BAドライバーは補助的な役割の様子)、所有欲を満たしそうな美しい造形美も手伝って注目の機種になるのではないでしょうか。

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Image credit: Acoustune / Madoo

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