Sponsored Reviewこのレビューは、**[HiFiGo](https://hifigo.com/?rfsn=6191182.a0df2b)** 様より試供品を提供いただいてのレビューですが、製品の評価は個人的に率直な感想を記載しています。
独創的なアイディアやコンセプトを製品に具現化している ikko Audio (アイコー・オーディオ)
ikko Audio (アイコー・オーディオ)というブランドを初めて知ったのは、確か2018年のヘッドフォン祭で参考出品されていた「OH1」を聴かせてもらった時。
2018年に彗星のごとく現れた OH1 "Meteor"、OH10 "Obsidian" で人気が定着した ikko Audio
「OH1 "Meteor"(流星)」は独特の形状のアルミ製ハウジングとその名の通り隕石の表面のようなフェイスプレートが新鮮で一際目を惹きましたが、この形状ながら意外に耳への収まりがよいだけでなく音質も奇をてらわずバランスがよく、2018年末に国内発売以来じわじわと人気が広がっていった印象があります。
その翌年2019年の夏には、ハウジングに「丹銅 (red brass)」を使用した上位機種「OH10 "Obsidian"(黒曜石)」も発売され、ドライバー構成は OH1 とほぼ同じながら、その深みと重厚感ある味わい深い音質が人気を博し、個人的にもかなり気に入って購入の一歩手前までいったものの、ちょっとサブベース(超低音域)が強すぎるかな?というところで踏みとどまった機種です。
Ikko OH10 "Obsidian"
— 森あざらし "Azalush" (@align_centre) July 13, 2019
OH1 Meteor の筐体素材違いだけど、音の重心がずっと低く、どっしりとした安定感と響きのきれいな音。アコースティック系なんかはすごく合う♪ これ好き。
OH1は自分は耳たぶに当たるところが痛かったけど、OH10は角の丸みが滑らかなので痛くならなかった!#ポタフェス B1-66 pic.twitter.com/Oa2z7Lb1t5
2021年に登場したエントリークラスの新機種 ikko「OH1s」と「OH2」
その後2021年初夏に「OH1」の後継機となる「"Gems" OH1s」という機種が発売されました。
この「OH1s」、 当初雑誌などに掲載された写真が正三角形の「🍙」に見える角度で撮られており、商品写真も🍙形を強調する画像だったため、個人的にはその🍙のイメージが強すぎてあまり関心が持てずOH1s はまだ試聴していませんが、実物は製品画像の🍙とは違ってカッコいいようで、商品写真で損をしている機種だな…と思っていました。
OH1s の音質に関しては試聴していないのでわかりませんが、国内外のレビューを読む限りは自分の好みの音とはちょっと違うかも?という感じでしたが、巷では概ね好評のようです。
そして "Gems" OH1s の少し後、昨年2021年の秋に海外発売され価格的にもその弟分に位置する形になりそうなのが、今回紹介する "OPAL" OH2 です。尚、2021年12月24日には日本国内でも販売開始されています。
イヤホンにとどまらず時代のニーズに応える独創的なアイディアを具現化する ikko Audio
ikko Audio は他にもハイエンドイヤホン/IEM「OH7 "Musikv"」の他、小型の USB-C DAC/AMPドングル「"Zerda" ITM03」が好評を博し USB DAC/AMP ドングルメーカーとしても知られ、スマートフォンに装着してスマホをハイレゾDAP化する「ITM05 "Music Patch"」の他、昨年2021年にはITM03 の後継として、マグネット式着脱ケーブルを採用した USB Type-C & Lightning 両対応の「"Zerda" ITM01」をリリースするなど、時代によるニーズの変化に応える製品を独創的なアイディアやコンセプトで具現化した、高品質な製品を次々とリリースしている注目のメーカーです。
Ikko Audio "ITX01"
— 森あざらし "Azalush" (@align_centre) December 9, 2021
USB Type-C HUB 兼マルチアダプター兼 USB DAC & バランス出力ヘッドホンアンプ? 599元(20倍するとだいたい日本円税込価格)https://t.co/nAQmX3hzTK
おもしろいのが出てきた♪
MacBook Air M1とかポート数の少ない機種にはこれ一つでOK?! pic.twitter.com/odMP7ADh6T
マスコットキャラクターのフェネックと共に ikko ブランド独自の世界観をつくるアートワーク
ikko Audio は、製品パッケージやブランドのプロモーション用イメージにも独特なファンタジックな世界観のイラストを使用しており、キツネの仲間で小型で耳の大きな「フェネック」がマスコットキャラクターとのことで、今回紹介する「OH2」も含め、ikko Audio 製品にはフェネックのイラストをあしらったピンバッジが同梱されています。
OH1 は Meteor(流星/隕石)だったけど、キツネ(?)が Ikko audio ブランドのイメージキャラなのかな? pic.twitter.com/ntKdbHGWpo
— 森あざらし "Azalush" (@align_centre) July 8, 2019
ikko Audio "OPAL" OH2
前置きが長くなりましたが、ここから本題。
従来の「"Meteor" OH1」および「"Obsidian" OH10」の他、先行してリリースされている「"Gems" OH1s」は「ダイナミック型×1 + BA型×1」のハイブリッドドライバー構成なのに対し、今回の新機種「"OPAL" OH2」は、「ダイナミック型ドライバー×1基」のシンプルな構成です。
さらに価格は $79と、日本円で税込1万円以下の価格帯で、シングルダイナミック型ドライバー機の激戦区に全5色のカラーバリエーションを揃えた新たな刺客登場、といった感があります。
Source: iKKO OH2 – ikkoaudio
ikko OH2 の競合機種として、海外価格がほぼ同じ$79の音質に定評あるシングルダイナミックドライバー機は、新しい順に
- Moondrop(水月雨) Aria ($79.99/2021.3/国内発売時: 税込9,900円)
- Whizzer Kylin HE01 ($79.99/2020.11/国内発売時: 税込9,980円) 👉以前レビューしています
- FiiO FD1 ($79.99/2020.6/国内発売時: 税込8,930円)
あたりが日本でも流通している機種ではお馴染みでしょうか。(他にもいくつか$79前後の機種がありますが、個人的な感想では上記3機種が突出して音質やバランスが優れている印象です)
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iKKO "OPAL" OH2
Source: iKKO OH2 – ikkoaudio
ikko Audio OH2 は、高密度ナノカーボンダイアフラムを採用したダイナミックドライバー1基の構成で、ハウジングに OH1s の開発で得られた技術と思われる、ダイナミックドライバーからノズルまでのチャンバー部が真鍮(亜鉛+銅合金)製、側面からフェイスプレート部にクリアなポリカーボネイトと金属プレートを組み合わせたハイブリッドシェル構造で、薄型で小さな耳の形にもなじみやすい曲面を組み合わせたクールな見た目の、所有欲を満たしてくれるデザインです。
カジュアル/ファッショナブル路線で凝ったパッケージ
「"OPAL" OH2」は、従来とは異なる ストリートカジュアル・ファッション系テイストのパッケージに驚きました。パッケージのビジュアルコンセプトからも、従来の OH1 シリーズや OH1s とはターゲット層が異なることがうかがえそうです。
このパッケージ、ボックスに3分の2程の長さのスリーブがかけられたデザインで、エンボスや箔押し、ホログラム印刷、表面コート加工、トムソン(型抜き)などあらゆる印刷技法が使われています。
さらにスリーブの型抜きされた人物イラストに合わせた形状のマグネットステッカーが付属するなど、印刷関係の仕事をしたことがある方はわかると思いますが、これはかなりコストがかかっていそうな非常に手の込んだパッケージで、$79の機種でここまで凝ったパッケージはそうないのでは?というクオリティです。
これはプレゼントにもうってつけではないでしょうか。
同時に、これは「OH2」がこれだけ凝ったパッケージでも採算がとれるマスプロダクション製品であることを暗に示しているようでもあり、 ikko Audio の自信作であることをうかがわせるかのようです。
ikko OH2 開封動画 (by HiFiGo)
独創的ながら充実の付属品
上の開封動画でも紹介されていますが、付属品もまた独創的で充実しています。
基本的には、ケーブルも含め先行して発売されている価格が約2倍の上位機「"Gems" OH1s」と同じ内容のものが付属しているようで、その分お得感があります。
目を引くのが「beyerdynamic のあの機種」の付属品にも似たダースベイダー風の形状のシリコーン製イヤーピースが6サイズ、フォームタイプでありながら特殊な表面加工でツルツルの感触のものが3サイズ入っています。
ikko 独自のイヤーピースのこだわり
楕円形シリコーンイヤーピース
ikko OH01s と OH2 で採用された独特な形状のシリコーン製イヤーピースの軸と開口部は「楕円形」をしていおり、ikko Audio OH2 の金属製ハウジングのノズル部もまた人間の耳の穴の形状に合わせた「楕円形」になっています。そのためこのイヤーピースを本体に装着すると、自ずと耳にフィットする所定の角度に固定されます。
楕円形のノズルは Skullcandy などの機種でも見られますが、ノズル側もイヤーピース側も同じ楕円形をしているのは自分が知る範囲では比較的珍しい部類で、耳の穴が小さな方でも圧迫感なく装着できるよう配慮されているようにも見えます。
逆に、耳の穴が大きな方の場合は緩くなるため、富士山のような巨大なものも含め6種類ものサイズを用意されています。
この楕円形シリコーンイヤーピースは耳に装着した際、外耳道入り口(耳穴)のカーブに沿うようにフタをする形になり、通常の砲弾型のイヤーピースのように耳穴の奥まで押し込んで固定するタイプではないため、個人差はあると思いますがグリップ力はあまりなく若干落ちそうな不安な感じます。
しかし実際にはケーブルの絶妙なカーブも相まって、普通に歩いたり動いたりする程度では外れることもなく遮音性もそこそこあり、耳穴に押し込む圧迫感があまりないため、長時間の装着でも疲れにくく違和感を感じにくいというメリットはありそうです。
フォーム型は ikko「i-Planet」が3サイズ
フォームタイプのイヤーピースも ikko 独自のもので、「i-Planet」として先行して単体販売もしています。
このイヤーピースは、超低反発ウレタンフォームの表面に特殊なコーティングを施すことで、密閉性や装着安定性の高い低反発フォーム型のメリットに加え、シリコーンタイプと同様の肌触りのよさと共に劣化しにくい耐久性も兼ね備えたもので、ノズルの軸径がやや太めのイヤホン/IEMや完全ワイヤレスイヤホンにも適した形状です。
シリコーンタイプではグリップ力が弱い場合は、こちらの「i-Planet」の方がよいでしょう。
尚、内部はフォームタイプの中でも目の細かいタイプのため、付属のマニュアルにも日本語の記載があるように、しっかり指でつぶして耳に入れてフィットさせる必要があります。
そういえば、Ikko の i-Planet がこんなに早く日本で発売されると思ってなくてw、産地直送🇨🇳で先に発注してた分がで届いてたw
— 森あざらし "Azalush" (@align_centre) August 26, 2019
SサイズとMサイズは外径だけでなく高さも少し違い、Sサイズの方がやや高さがあり、形状も饅頭のようなMサイズに対し樽型になってる。 pic.twitter.com/LrHd4z4Hly
単結晶銅銀メッキ線の付属ケーブル
付属ケーブルのMMCX端子と本体との嵌め合い精度の個体差にやや不安あり
ikko Audio は初代の「OH1」からイヤホン/IEMのケーブルコネクターに MMCX コネクターを採用しており、「OH2」でも MMCX コネクターとなっています。
ただ、その MMCX 端子の精度に個体差があるのか手元の個体は左側だけゆるく、イヤーピースを付け替えたり試している時に意図せず何度か外れてしまうことがあり、やや不安が残ります。
最近の他メーカーの機種では、ケーブル側のMMCX端子部が4分割や2分割になった「膨張式」などと呼ばれる、外側にスプリング状に広がる力でイヤホン側端子内に接触し、摩擦でクルクル回らないタイプのものが増えてきましたが、ikko Audio が採用しているものは通常の MMCX 端子のため、嵌め合い精度は「MMCX端子の本体側とケーブル側双方の精度誤差」に依存する形になります。
ケーブルを代表的なところでは DUNU や FiiO などで採用されている「膨張式 MMCX 端子」のものにリケーブルすれば解消はしますが、「OH2」はエントリークラスの価格帯ということもあり、初めてMMCX端子を使うユーザーもいるであろうことを考えると、今回たまたまそうした個体に当たったにしても他にもこうした個体がある可能性は払拭できず、ここはぜひランニングチェンジやマイナーチェンジ等で改善してほしい点です。
イヤホン用のMMCXコネクターはプラグ側の精度だけ高くてもあまり意味がなく、イヤホン側のMMCXレセプタクルとMMCXプラグ側の両方の精度が揃って初めて安定する構造なので、安定性や接触抵抗の低減、着脱のしやすさ含めた現実的な解が、DUNU/FiiOの膨張式MMCXプラグだと思ってる。実際使いやすいし。 https://t.co/gL9eSuuLsg pic.twitter.com/685Lv6saE3
— 森あざらし "Azalush" (@align_centre) March 22, 2021
ikko 独自の MMCXコネクター取り外しツール同梱
付属レザーケースの中に入っていますが、final の「MMCX Assist」にやや似た、ノズルクリーニング用ワイヤーのついた MMCX コネクタ取り外しツールが付属しています。
このツールは後発だけあって挟む部分がかなり薄く広く作ってあり、final のものより位置合わせがしやすく感じました。
FiiO FD5 に final の「MMCX Assist」が同梱された頃から、中国のネット通販サイトで緑色の模倣品を見かけるようになりましたが、ikko Audio のものは、ロゴマークも入った自社製品に合わせたオリジナル仕様になっています。
「MMCX 取り外しツール」あれこれ
左から「final 純正 MMCX Assist」、「ikko Audio OH2 付属品」、「FiiO FH5s 付属品」
付属ウォレット型レザーケースの正しい使い方がよくわからないw
ikko OH2 に付属するレザーケース、イヤホンケースということになっていますが、ポケットがついたレザーを二つ折りにして革紐が取り付けられてなかなかおしゃれでよいのですが、イヤホンをどう収納するのが正しいのかよくわかりませんw
断面や裏に薄手のフェルト地が貼られフチがかがり縫いで縫製されているところ見ると、ひょっとするとPUレザーではなく本革のようにも見え、もし本革製であれば使い込んでいくうちに柔らかく馴染んでいくはずです。
新品の状態では硬いため、OH2 を収納すると中でイヤーピースが外れたり、緩めの左側のMMCXコネクタが外れてしまったりしたので、しばらく中に詰め物でもして伸ばしてから使ったほうがいいかもしれません。
ikko Audio OH2 本体
ikko OH2 は「神は細部に宿る」という言葉が似合いそうな、高い技術で設計/製造されているのであろうことが随所に見て取れます。
金属パーツと樹脂パーツを、ほとんど段差なく非常に高い精度でつなぎ合わせている精度にも驚きますが、ダイキャストと思われる金属製チャンバーはノズルの形状が人間の耳穴の形状に合わせた楕円形に成形されており、そこにフィットする金属製のフィルターが樹脂パーツで取り付けられています。ちなみにこのノズルのフィルターは交換用のスペアが1セット付属しています。
装着感はかなりよい
本体がかなり小ぶりで薄型なので、ほとんどの人の耳にフィットするのではないかと思います。
ケーブルのタッチノイズはほとんどなく、ケーブルのイヤホン側に熱収縮チューブがかぶせられ、耳の後ろに回り込むようにちょうど良い感じの「クセ」があらかじめついているため、付属のシリコーンタイプのイヤーピースでもケーブルによってうまく固定されるようです。
また、OH2の構造上、耳の中に入る部分のみが真鍮製でフェイスプレート側が軽量なポリカーボネイト製のためか、装着時に本体の重心位置が耳の中に向いて外側に外れそうな力や重さを感じません。
Source: iKKO OH2 – ikkoaudio
ikko OH2 の音質インプレッション
試聴環境
試聴には、いつもの試聴用プレイリストのロスレス版およびSpotify版を使用して、次のような再生環境等で聴いてみました。
- iPhone SE 2nd gen +
- Apple 純正 Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ
- Zephone U1 (Lightning - USB-C) + HiBy FC3(ES9281AC PRO)
- ikko ITM05 "Music Patch"(CS43198×2)
- FiiO BTR5(ES9218P×2), Shanling UP5(ES9219C×2)
それぞれ Bluetooth 接続 および MacBook Pro 14 に USB DAC として接続 (onso schs_02_cc_018 し Audirvana 3.5 で再生- Astell&Kern KANN ALPHA
尚、DAPに入れてある試聴用プレイリストを連続シャッフル再生して70時間ほど Burn-in した状態での評価です。
試聴用プレイリスト Spotify 版
試聴用プレイリスト YouTube 版
ikko OH2 の驚くほどポテンシャルをもつ音質
iPhone に Apple 純正 Lightning オーディオアダプタを介して接続しても充分バランスのよい音で楽しめますが、ikko OH2 は上流 (再生機器や音源) の質がよくなるとその違いを如実に感じ取ることができるレベルの再現能力を持っているようです。
例えば iPhone に Apple 純正 Lightning アダプタを介して聴くと高音域がややガサついた感じに聴こえますが、USB DAC/AMPドングルの HiBy FC3 や FiiO BTR5 や Shanling UP5 などの Hi-Fi Bluetooth レシーバーアンプを使うと、そうしたアラが消え去り音源が本来持っている瑞々しい音に、グッとレベルアップすることを実感できます。
より高価なDAPでもその音質の違いを感じやすく、再生環境や音源など上流のクオリティによってどこまでも伸びていきそうなポテンシャルを持っています。
また、たとえ Spotify などのLossy圧縮音源であっても Bluetooth レシーバー経由であっても、音の質感の描写力が高く、特に中音域の瑞々しさや潤いあるしっとりした表現は、1万円未満という価格を忘れるほどです。
周波数バランス
聴感上はほぼ高音域から低音域までフラットに近く (部屋の中でラージモニタースピーカーで聴いた時のバランスに近い) 、パッケージにも印刷されている周波数特性が「ハーマン・ターゲット・カーブ」に近いものの、それよりもその開発者でもある Sean Olive 博士による2018年の調査で、市場に流通する82機種のイヤホン/IEMを平均した特性に近いことからもうなづけます。
Looks like the headphone industry has decided headphones should sound more like loudspeaker in a semi-reflective room -- not an anechoic or diffuse field based on an average measurement of 82 headphones. from @AESorg paperhttps://t.co/8RMd0xHp0k pic.twitter.com/TcAwzW6h14
— Dr. Sean Olive (@seanolive) November 11, 2021
Source: iKKO OH2 – ikkoaudio
ikko OH2 の計測グラフではサブベース(超低音域)に向かってゆるやかに下がっているように見えますが、30Hz前後の超低音も程よく聴こえ、低音やサブベースの量感が不足する感じはなく、むしろ重心が低く安定した量感ある過不足のない低音域で、チェロのなどの響きも自然で気持ちよく聴けます。
高音域は、上のメーカー計測グラフでは 6kHz 付近がグッと下がっているように見えますが、これはいわゆる「刺さる」帯域を意図的に抑えてあるようにも見え、外耳道長の個人差による共鳴周波数の変化を加味しても歯擦音が刺さることはなく、8kHz〜10kHzの間のピークは、自分の耳では 8.2kHz 付近になり、10dB程上下しているメーカー計測グラフの見た目ほどの突出感や違和感は感じませんでした。
解像度や質感
解像度は「きめ細かい」という意味で非常に高く、刺激的な音ではなく、どちらかというと全体的にはマイルドに感じます。かといってこもり感は皆無で、高域のシンバル系のアタックもシャープでキレがよく、音の粒が非常に細かく感じられます。
真鍮製チャンバーを採用しているためか、低音の重心が低く安定したピラミッドバランスになっていることもあり、その上の中音域から超高音域まで音のテクスチャー・質感が、この価格帯でここまで再現できるのかと驚きます。
音像定位・空間表現
音像定位は各音源の位置や大きさをしっかりと把握でき、空間は音源のあるがままに広くも狭くも感じられ、オーケストラでは各楽器の位置関係や距離も見渡せ、収録の良質な音源では自然な広がりを感じられます。
音場空間や距離の感じ方は、音源のタイプやミキシング、個人差によっても大きく変わるため一概に言えませんが、多くの音源では手の届きそうな距離のボーカルとその後ろや左右に位置する楽器やコーラスの距離の違いもわかりやすく、臨場感がありながら音の抜けがよく解放感があり、長時間聴いていても聴き疲れしにくい鳴り方に感じます。
総合的にこの価格でこのクオリティはすばらしい。オススメ!
ikko Audio "OPAL" OH2 は $79 クラス/日本円で税込1万円弱の価格帯ではトップクラスの音質かつ装着感もよく、見た目のよさや充実の付属品、パッケージの美しさも含め、総合的に非常にクオリティの高い製品であることはおそらく間違いないでしょう。
ただ、惜しむらくは「MMCXコネクター精度」の不安要素と、どうやって使えばいいのかよくわからないレザーケース…(笑)
オススメです!
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