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QoA Gimlet レビュー 〜 金属筐体ならではの上品でしっとりと心地よい音を楽しめるイヤホン

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このレビューは、Linsoul Audio 様より試供品を提供いただいてのレビューですが、製品の評価は個人的に率直な感想を記載しています。

QoA (Queen of Audio) というブランドは、Kinera の姉妹ブランドとして2人の女性が立ち上げたイヤホンブランドで、カクテルの名前を冠した各製品名は、サウンドコンセプトもそのカクテルのイメージに沿いつつ、どの機種も基本性能が高く耳障りの心地よい音質で、ファンも多い人気ブランドの一つです。

QoA Gimlet は、そんな QoA の機種の中でも最も低価格 ($59) かつ、QoAでは初の金属製ハウジングを採用したエントリー機になります。

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少し聴いてみると、金属製ハウジング (おそらく亜鉛合金?) による共振の少ない、落ち着いたかなり聴き心地のよいサウンド。装着感も含めかなり好印象です。

2023年3月に日本でも正規代理店より発売されたようです。

カクテル “Gimlet”

“Gimlet” は、ジンまたはウォッカにをベースに、ライムジュースとシュガーシロップを加えたシンプルなカクテル。それぞれの配分などにより技量が問われるようです。

QoA では、サウンドやイメージをカクテルの味などになぞらえて展開しているようで、各機種名のカクテルと聴き&飲み比べしてみるのも面白いかもしれません。 https://blog-alchol-life.com/gimlet/

QoA “Gimlet” の特徴・仕様

QoA Gimlet は、新開発のLCP(液晶ポリマー)複合ダイアフラムの10mmダイナミック型ドライバーを採用しており、高剛性のLCPによりディティール表現を高め、ジンとライムジュースのカクテル "Gimlet" のようなイメージを表現して名付けられたようです。

また、コンパクトながら重量感ある金属筐体によって、樹脂筐体によくある中音域の音の濁りの原因となる不要な共振が大きく低減されていることが期待できそうです。

Image credit: QoA

カラーは2色

QoA Gimlet は「Emerald Green」と「Pearl White」の2色のカラーバリエーションがあり、どちらも高級感と落ち着きある色になっています。

Image credit: QoA

LCP(液晶ポリマー)とは?

LCP(液晶ポリマー)の「液晶」は、液晶ディスプレイとは直接関係なく、材料工学の分野で物質の状態(溶融状態で結晶構造をもつ)を表すもので、液晶ポリエステルとも呼ばれるようです。

LCPは剛性が弾性が高いため、パソコンやスマホのコネクタ部などに幅広く使われている他、QoA Gimlet のようにイヤホンの振動板(ダイアフラム)にLCP複合ダイアフラムとして採用することで、高いレスポンスと高い制動性により、ダイナミックなサウンドからディティールの表現まで高める効果があるようです。

QoA Gimlet パッケージ開封・付属品

パッケージはCDのジャケットとほぼ同じ12cm四方で、厚さは4.5cm。金と銀の箔押し印刷で高級感があります。

パッケージを開けると、セミハードケースとクイックガイド、ソーシャルメディアのアドレスが印刷されたカードが出てきます。

そして、セミハードケースを開けると…本体が「すぐ使える状態」で出てきます。

最近のイヤホンは、パッケージに「すぐに使える状態」で入っていることはむしろ珍しく、ケーブルやイヤーピースが別々になっていることが多いのですが、これは初心者にも優しいパッケージングと思います。

QoAの製品は今回個人的に初めてですが、以前からこうした細かなところへ配慮が行き届いているなーと思って見ていました。まさにブランド創設者である2人の女性の気遣いが、製品にも表れているかのように見えます。

付属品・ケーブル

QoA Gimlet の付属品は、本体の他には

  • ケーブル (3.5mm, 4N 4-core OFC 銀メッキケーブル)
  • イヤーピース (2タイプ × 各3サイズ)
  • セミハードケース
  • マニュアル・仕様書

が同梱されています。 ケーブルはプラグ部や分岐部が金メッキされ、本体との色合わせもよく、見た目はかなり高級感があります。

ケーブルのイヤホン側のコネクター部、パッケージ開封時はケーブルが接続されているので見えませんが、本体側に僅かながら溝が設けられており、ケーブルを装着すると、その溝にピタリと収まり固定されるようになっています。

低価格帯の機種では、イヤホン側端子が平坦で穴が2つ開いているだけという機種も多くありますが、2pin 端子は横方向への引っ張りに弱い構造なので、QoA Gimlet は低価格帯のエントリー機ながら配慮が行き届いていると感じました。

2種類のイヤーピースで空間表現がかなり変化

イヤーピース (EarTips) は、ブルーのものとホワイトの2種類が付属し、標準ではブルーのものが装着されています。

ホワイトのタイプは一般的なイヤーピースの形状に近く、標準で装着されているブルーのタイプは、開口部が浅いホーン状になっており、装着時にノズルがより耳の奥に入る形になります。

この違いにより、後述の「サウンドステージの広さや奥行き(空間表現)」が変わるので、まずは標準のブルーのタイプで試して、音楽や音の好みに応じて好きな方を使うとよいでしょう。

装着感

QoA Gimlet は、金属筐体のため片側で実測14gちょっとありながら、耳への収まりが非常によく、耳のくぼみにぴたりと収まって落ちそうな気配もなく、装着時は重さを感じません。

耳の外側に飛び出る部分がなく重心位置が耳の内側になるため、そう簡単に落とす心配もなく、この形状は非常によく考えられていると思います。

試聴

試聴前の準備:Burn-in (エージング)

音質レビューの前に、いつものように Burn-in ボトルに入れて、85hほどバーンインしました。 Burn-in には、ピンクノイズ等ではなく、あらゆるタイプの波形や周波数帯を含む百数十曲の「試聴用プレイリスト」をDAPでシャッフル・リピート再生しています。

試聴用プレイリスト

試聴環境

試聴には、Astell&Kern KANN ALPHA の他、iPhone SE や Unihertz Jelly2 に USB DAC として

  • FiiO Q5s-Tc (AK4493, THXAAA)
  • Shanling UA3 (AK4493S)
  • FiiO BTR5 (ES9218P)
  • HIBY FC3 (ES9281AC PRO)

等を接続したり、MacBook Pro 14"(2020) 上の Audirvana Origin Mac版 に上記 USB DAC をUSB接続して各種音源でテストしました。

QoA Gimlet 試聴レビュー

全体的な印象

QoA Gimlet の音を聴いてまず感じたのは、金属筐体のおかげで中音域に不要な共振等による雑味のない「上品さ」です。かといって、金属の響きが乗ってくる感じではなく、非常にニュートラルな印象です。
また、出力感度が比較的高く、スマートフォンに接続したドングルDACやBluetoothレシーバーでも、音量をほとんど上げる必要がありません。

メーカー公表の周波数特性を見ると、おおむね「ハーマンターゲットカーブ」に沿う特性で、聴感上はほぼフラットに近い形になっています。

Image credit: QoA

高音域に突出した帯域がないおかげで、低音域から高音域まで素直に繊細でしっとりと鳴らし、変な派手さやキツもなくとても聴き心地がよいと感じます。この価格帯で雑味がなく力強がありかつ繊細でもある音は、なかなか他で味わえないかもしれません。

ただ、全体的に空間が狭く音が至近距離に迫りがちな傾向があります。これはイヤーピースによってもある程度調節できますが完全に好みの問題になるでしょう。

paris match - Strawberry Waltz
Stream▶️ Strawberry Waltz by paris match
日本でも優秀なレコーディングの曲が多い、paris match の曲。QoA Gimlet ではあまりに自然でありのままに聴こえるので、曲にひき込まれていきます。

空間表現:音場空間は狭い傾向

先にも記したように、標準のブルーのイヤーピースと、ホワイトのイヤピースとで、空間表現/サウンドステージが特に大きく変わります。

ブルーのイヤーピース:音が至近距離に迫る

サウンドステージがかなり狭く、ボーカルや楽器の音像が目の前すぐに迫るように感じます。おそらくJ-Popのようにもともと奥行き感や立体感の少ない曲でボーカルを近くで聴きたいというニーズに合うのではないでしょうか。

ホワイトのイヤーピース:

サウンドステージが広がり、ボーカルや楽器などの音源の距離がある程度確保され、音像定位の位置や距離感もわかりやすくなります。とは言ってもサウンドステージ/音場空間は広大に広がるところまではいかず、やや小さめの空間ながら距離感や立体感を感じられるようになります。

低音域〜サブベース

サブベースの30Hz以下は上記グラフのようにややフェードアウトしているので、ガッツリ出るタイプではありませんが、サブベースを多用する海外の音楽でもサブベースが不足する感じはなく、低音域のキックもそれほどぼやけることなく気持ちよく聴ける印象です。

また、低音域から中低音域の出方も非常に自然で、特に盛った感じがなく自然な鳴り方です。

Nora En Pure - Enchantment
Stream▶️ Enchantment by Nora En Pure
イントロ部分冒頭に30〜40Hzのサブベースの「ゴロンゴロ…」という音が入っていますが、最低音域まではいかないもののしっかり聴こえます。また、チェロの中低音域も自然で、アコースティック楽器の再現性はかなり高いと感じます。

中音域

ボーカルなど、中音域の表現は格別で、ナチュラルなボーカル Lover な方にはぜひお勧めしたい感じです。

STRAWBERRY FIELDS FOREVER - Karen Souza Feat Los Panchos
Stream▶️ Strawberry Fields Forever by Karen Souza, Los Panchos
Karen Souza 艶かしいボーカルが非常に心地よく、バックバンドの音像定位と共に音のバランスが非常に優れたカバーアレンジです。
Ciel - Daydream (feat. Chris Ho)
Stream▶️ Daydream by Ciele, Chris Ho
リバーブの少ないデッドなボーカルから始まり、徐々にギターやドラム、ベースなどのバンド楽器の音が重なってくるこの曲。左右周囲に定位するコーラスと共に、QoA Gimlet では気持ち良い心地よさを感じます。

高音域

QoA Gimlet を聴いてみて、特に感心したのが高音域のバランスの良さです。多くのイヤホンでは耳の構造に起因する共振で刺さりやキツめの音が出やすいところ、そうした心配を完全に払拭するような心地よい高音域に感じます。

トーンジェネレーターで確認すると、8kHz〜9kHz付近にピークはありますが、多くの楽曲ではあまり音を突っ込まない帯域で、さらに15kHz以上まで自然に伸びていくため、中音域のボーカルを含め、高音域に伸びる倍音成分によって自然に心地よく聴こえるのかもしれません。

遊佐未森 - ECHO
Stream▶️ ECHO by Mimori Yusa
シンプルな音の曲ですが、柔らかくも張りのあるボーカルの聴こえ方がとても自然です。

総評:

QoA Gimlet は、イヤホン本体やケーブルのデザインや配色、細部まで配慮の行き届いた使い勝手など、「QoA」ブランドの特徴を約$60 (国内価格 ¥8,980)のエントリー機ながらも堪能でき、装着感も良い金属製ハウジングにより、濁りっ気の全くない素直で上品な音をこの価格で実現しているのは、かなり驚きです。QoAブランドの上位機を使っている方にも、ぜひ体験してほしい気がしますし、サブ機としてもよいかもしれません。

QoA Gimlet は、特に空間の広さや立体感はそれほど求めない、バンド系J-PopやスローテンポなJazzなどをよく聴く方にはかなりおすすめできそうな機種で、セミハードケースまで同梱されて日常的な使い勝手まで配慮されており、プレゼントにも最適でしょう。

キューオーエー(QoA) Gimlet

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