「キャリアブル・ヘッドホンアンプ」ACRO CA1000 登場
Sony DMP-Z1 から続く最近のトランスポータブル機の流れを Astell&Kern が現代の解釈で形にしたような、デスクトップユースにも適した「キャリアブル・ヘッドホンアンプ」として ACRO CA1000 が海外で2022年1月3日に正式発表されました。
商品名としては「ヘッドホンアンプ」と称していますが、DAPとしての機能も持っています。
Introducing the Astell&Kern ACRO CA1000 Carriable Headphone Amp. Coming February 2022. The ACRO CA1000 is a headphone amplifier that combines the functions of a high-performance amplifier and the portability of a Digital Audio Player. https://t.co/fUOYPTBYgF
— Astell&Kern (@astell_kern) January 3, 2022
Astell&Kern 初となるキャリアブルヘッドホンアンプ 『ACRO CA1000 』がグローバルリリースされました。国内におきましては追って詳細を発表させて頂きます。何卒宜しくお願いいたします。 https://t.co/ZzDN6BIHXj
— Astell&Kern (JP) (@iriver_jp) January 3, 2022
- Head-Fi 公式スレッド
基本スペック
充実の入出力端子と出力の高さ
Source: Astell&Kern ACRO CA1000(USサイト)
正面に 4.4mm, 2.5mm のバランス出力と 6.35mm標準, 3.5mmステレオミニ端子の4種類の端子が並び、バランス出力で最大15Vrms(無負荷時)、シングルエンド出力で最大8Vrms(無負荷時)という出力で、ほぼあらゆるヘッドホンを十分に鳴らせることでしょう。
US公式サイトに、ACRO L1000 や KANN ALPHA との出力比較表が掲載されています。
Source: Astell&Kern ACRO CA1000(US)
「ヘッドホンアンプ」と称しているように、背面には RCA 端子のアナログ入出力のほか、デジタル入出力もほぼ一通り揃っており、抜かりありません。
- デジタル入力:Coaxial x1, Optical x1, USB(Type-C) x1
- デジタル出力:Optical(3.5mm) x1, USB(Type-C) x1
DAPとしてもトランスポーターとしても使えそう
DAP としても microSD カードスロットを背面に備えており、外部入力のヘッドホンアンプとしてだけでなくトランスポーターとしても使えそうな雰囲気です。
DAC に ES9068AS×4 を採用するなど、DAP部デジタルステージの構成は A&furuta SE180 + SEM3 に近くなっていますが、電源やヘッドホンアンプ部がかなり強化されていることが予想され、ACROシリーズとして、より安定感のあるパワフルなサウンドが期待できそうです。
意外にコンパクトなサイズ
本体のサイズは比較的コンパクトで、ディスプレイには SA700 と同じ 4.1 インチの液晶パネルを採用。
気になる重量は 919g と約1kg弱。重量がモノを言う据置オーディオの世界と「キャリアブル」のバランスをとった形としては妥当な所ではないでしょうか。
Source: Astell&Kern ACRO CA1000(US)
("超弩級"とまではいかないかも…某図を拝借w ちょうどよいサイズ感? ちなみに PPR21 が SE100、PPR31 が SE180 なので PPR41 ということはその延長線上?! https://t.co/tmRg1QysTl) pic.twitter.com/iX3dqTNtLr
— 森あざらし (Azalush) (@align_centre) December 9, 2021
8,400mAh(3.8V)のバッテリーで約10.5時間連続再生
内蔵バッテリーは 8,400mAh(3.8V)、連続再生時間は「約10.5h(FLAC 16bit/44.1kHz)」となっていますが、FiiO M17(9,200mAh) よりはやや少なく Shanling M9 (8,350mhA) とほぼ同等である点、もともと ES9068AS がかなり低消費電力のDACであることなどから想像すると、「ヘッドホンアンプ」としてアンプ回路の駆動に重きを置いているようにも思え、「バッテリーオペレーション・ヘッドホンアンプ」としての音質性能が設計コンセプトとしても肝なのかもしれません。
「ティルト式ディスプレイ」採用の意義
Sony DMP-Z1 を初めとする「トランス・ポータブル」DAPでは、既存の中国メーカー機では上面にディスプレイが配置された形になっていますが、ディスプレイ部分にティルト機構を備え、デスクトップなどでの操作性を高めているのが、個人的にはかなりポイントが高いと思う部分です。
今はスマホアプリで操作できる機種も多いので、アプリでの操作前提の場合は話は別ですが、スマホやタブレットなしで使う場合に、ディスプレイをポップアップさせた状態で使えるのは、使い勝手や利用シーンを広げる上でも大きなメリットになりそうです。
Source: Astell&Kern ACRO CA1000(US)
Astell&Kern はかつて「AK500N」という巨大な立方体のDAPをリリースしていましたが、ACRO CA1000 のティルト式ディスプレイは、AK500N のディスプレイを彷彿とさせる感もあります。
Sony DMP-Z1 を筆頭に、KANN CUBE, iBasso DX220MAX, FiiO M17 という、ポータブル以外にデスクトップでの使用も想定したDAPが出てきてるけど、デスクトップでの使い勝手的には傾斜ディスプレイの方がよさそうな気が。
— 森あざらし (Azalush) (@align_centre) May 11, 2021
Astell&Kern AK500N のミニバージョンみたいな感じで。https://t.co/CavRk1Q9rU pic.twitter.com/H6m7sFD10y
実は総務省から事前に情報がリークされていた
時々アメリカのFCCや総務省の技適検索のページで新製品のチェックをしたりするのですが、FCCには機種名だけが上がってたところ、総務省の技適検索ページには、詳細にわたる情報がさらりと掲載されており、あれれ?となりました。その上、公開されている情報があまりにも詳細すぎたため、Twitter でツイートするのもはばかられた程ですw
- FCC ID: QDMPPR41
- 技適認証番号: 011-210044
Sony など世界的に注目度の高いメーカーは発表前の新機種では FCC に "FCC Confidentiality Request letter" として外観などがわかるような詳細情報を公開しないようにするケースが多いのですが、日本の総務省では、日本の法令や制度上なのかどうかどうもそういうものがなく、ひょっとして全て公開か全て非公開かの2択しかないのでは?という気さえします。
他にも総務省の技適検索は、すでに発売されている機種を検索しても出てこない機種があったりと、国民の便益に適っているのか疑問な点は多数あります。(現在の電波法では、技適認証のない機器は「販売はOK」で購入者が「使用するとNG」)
詳細は日本国内正式発表を待ちましょう!
Astell&Kern のUSサイトでは、$21,000という価格情報も出ていたりしますが、スペック詳細も含め国内代理店経由での国内正式発表を待ちましょう。
海外価格を単純に為替レートで換算しても、日本の消費税が含まれないので、少なくとも消費税率10%をプラスする必要がありますし、仮に個人輸入で海外から課税額が1万円以上30万円未満の機器を購入した場合、通常は送料に加え内国消費税や通関手数料がかかるので、それ以上になります。
最近の半導体や部材不足で調達・物流など全般的にコストが上がっていますし、メーカーと国内代理店の動向予測と采配次第ではないでしょうか。
追記:「2022年1月22日」国内発売されました
【リリース/新製品】
— Astell&Kern (JP) (@iriver_jp) January 18, 2022
<Powerful Audio Anywhere>
高性能アンプとデジタルオーディオ機能を一体化したコンセプトモデル。Astell&Kernの技術を詰め込んだ超高出力キャリアブルヘッドホンアンプ
Astell&Kern
『ACRO CA1000』
2022年1月22日(土)発売
▼詳細https://t.co/ByHYehqTSf#AstellnKern pic.twitter.com/9pE92CqriA